1995年(第5回)
祝祭日の関係で、会期が11日間だったこともあり、協賛企画を含め、過去最多の19,278人の入場者数を記録した。なかでも日本映画「午後の遺言状」は主演の乙羽信子さんの遺作となったこともあり、最終日の上映には会場に入りきれないほどの多くの観客が集まり、急遽、福岡映画祭初の追加上映を実施した。 特集上映は、80年代後半から国際的に注目を集めるようになってきたイラン映画。キアロスタミ、マフマルバフだけではないイラン映画界の才能を紹介し、上映した7作品は翌年東京で開催されたイラン映画祭にも貸し出され、上映された。 またリー・アン監督(台湾)は長編デビュー作「推手」を出品、「ウェディング・バンケット」、「恋人たちの食卓」に続く“父親三部作”の3年連続上映が話題を集めた。香港のトップスター、トニー・レオンは主演作「月夜の願い」とともに参加が決定していたが、直前のベネチア映画祭で主演最新作「シクロ」が金獅子賞を受賞、スケジュール変更となり、来日は突然白紙に。トニー・レオンから待ち焦がれたファンに向けて、メッセージを録音したテープが届けられた。 なお、この年の3月に情報紙「アジアフォーカス」を創刊(年3回発行)する。 このほか、アドゥール・ゴーパーラクリシュナン(インド)、チャード・ソンスィー(タイ)、ダン・ニャット・ミン(ベトナム)、ナンサリーン・オランチメグ(モンゴル)といった過去福岡映画祭に参加した監督が、NHK主催のアジア・フィルム・フェスティバルで共同製作を果たしたことは、形となったひとつの成果といえるだろう。 |
PROGRAM FOR 1995
※作品名の後に★の付いている作品は福岡市総合図書館所蔵
●イラン映画特集
青いベール★ | ラクシャン・バニエテマド監督 | 1995/イラン/Color/85min. |
チック・タック★ | モハマッド=アリ・タレビ監督 | 1994/イラン/Color/65min. |
パンと詩★ | キュマルス・プルアマド監督 | 1994/イラン/Color/90min. |
サラ★ | ダリユシ・メールジュイ監督 | 1993/イラン/Color/100min. |
これを最後に★ | シルス・アルバンド監督 | 1992/イラン/Color/98min. |
戦火の中へ★ | アズイゾラー・ハミド=ネジャド監督 | 1992/イラン/Color/100min. |
ハーモニカ★ | アミル・ナデリ監督 | 1973/イラン/Color/75min. |
●アジアの秀作映画
私自身のもの★ | シャージ・N・カルン監督 | 1994/インド/BW & Color/141min. |
車輪★ | モルシェドゥル・イスラム監督 | 1993/バングラデシュ/Color/65min. |
ある時一度 | バンディット・リッタコン監督 | 1995/タイ/Color/125min. |
貴女のためにたたかう★ | マリルー・ディアス=アバヤ監督 | 1995/フィリピン/Color/130min. |
さまよう雄鹿★ | I・ニャムガワー監督 | 1993/モンゴル/Color/70min. |
N・ニャムダワー監督 | ||
べにおしろい★ | リー・シャオホン(李少紅)監督 | 1994/中国/Color/118min. |
月夜の願い | ピーター・チャン(陳可辛)監督 | 1993/香港/Color/97min. |
リー・チーガイ(李志毅)監督 | ||
推手★ | アン・リー(李安)監督 | 1991/台湾/Color/104min. |
太白山脈 | イム・グォンテク(林權澤)監督 | 1994/韓国/Color/168min. |
午後の遺言状 | 新藤兼人監督 | 1995/日本/Color/112min. |
スキヤキ | すずきじゅんいち監督 | 1995/日本/Color/94min. |
●協賛企画:中国語圏映画特集2(主催/福岡映画祭企画委員会)
村と爆弾★ | ワン・トン(王童)監督 | 1987/台湾/カラー/94分 |
悲情城市 | ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督 | 1989/台湾/カラー/159分 |
暗戀桃花源 | スタン・ライ(頼聲川)監督 | 1992/台湾/カラー/105分 |
傾城の恋 | アン・ホイ(許鞍華)監督 | 1984/香港/カラー/97分 |
ロアン・リンユィ | スタンリー・クワン(關錦鵬)監督 | 1991/香港/カラー/154分 |
さらば、わが愛/覇王別姫 | チェン・カイコー(陳凱歌)監督 | 1993/中国・香港/カラー/172分 |
雲南物語 | チャン・ヌアンシン(張暖忻)監督 | 1994/中国/カラー/95分 |
ジョイ・ラック・クラブ | ウェイン・ワン監督 | 1993/アメリカ/カラー/138分 |
○シンポジウム「イラン文化について」(9月18日/アクロス福岡国際会議場)