2008年(第18回)
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開催18回目を迎えた今年の映画祭は、西はトルコから、北はキルギス・ガザフスタン、南はシンガポールまでとアジア全域より、さらに新人監督から巨匠まで多彩な顔ぶれの監督による作品が揃った。
特集として、近年世界の映画祭で注目を集めているトルコ映画を4本まとめて上映した。また、台湾出身で香港、アメリカ、中国と舞台を移しながら活躍を続けている、李安監督の長編デビュー作からの父親3部作も一挙上映した。 オープニング上映作品は、トルコ映画特集の中の一作品、アブドッラー・オウズ監督の「至上の掟」。ゲストとして来福した、主演俳優のタラット・ブルット氏が日本語で挨拶をすると、会場は大きな歓声で埋まった。第3回目となる市民が選ぶ福岡観客賞には、現代イスラム共同体全般にみられる数多くの問題や論点を取り上げた、ショエーブ・マンスール監督のパキスタン映画「神に誓って」が選ばれた。 例年以上に充実した関連イベントも開催された。特集に対応する形で「トルコ・シネマ・ルネッサンス」と題し、トルコ映画監督、トルコ研究者、トルコ人留学生を講師に、トルコ共和国並びにトルコ映画の現状と、その魅力を探った。また、在福岡トルコ共和国名誉総領事館とともに「トルコ交流の夕べ」を開催し、駐日大使をお迎えして地元経済人を中心に同国と九州・福岡との友好を深めた。
さらに本年、福岡大学人文学部東アジア地域言語学科が開設10周年を迎えることから、同学科との共催により、シンポジウム〜ディアスポラのアジア第二章〜「アジア映画のキメラ“李安(リー・アン)監督”を語る」を開催し、学生を中心に多くの聴衆を集めた。
その他にも、本映画祭初めての試みとして、子育て世代のアジア映画鑑賞を手助けするために乳幼児をお預かりする託児サービスを始めるとともに、字幕を読むことが難しい小学生を対象にボランティアの声優がその場で台詞を吹き替えるボイスオーバー上映会を行った。また、会場以外でもゲストと身近に接することができる機会として、文化芸術情報館アートリエを会場にドリンク付きのトークイベント「カフェトーク」を開催し、大いに賑わった。 映画祭前には、3月から7月までの各月1回、韓国や中国、東南アジアなど各国・地域の映画をテーマとしたアジア映画講座を開催したところ、毎回定員を上回る申し込みをいただき、熱心なアジア映画ファンが育っていることが実感された。
PROGRAM FOR 2008
※作品名の後に★の付いている作品は福岡市総合図書館所蔵
至上の掟★ | アブドッラー・オウズ 監督 | 2006年/トルコ/105分 |
天使の墜落★ | セミヒ・カプランオウル 監督 | 2005年/トルコ・ギリシャ/97分 |
卵★ | セミヒ・カプランオウル 監督 | 2007年/トルコ・ギリシャ/98分 |
インターナショナル★ | スッル・スレイヤ・オンデル監督 ムハッレム・ギュルメズ 監督 |
2006年/トルコ/106分 |
サービス圏外 | アブドルラティフ・アブドルハミド 監督 | 2007年/シリア/100分 |
サントゥール奏者★ | ダリウシュ・メールジュイ 監督 | 2007年/イラン/106分 |
すずめの唄★ | マジド・マジディ 監督 | 2008年/イラン/96分 |
神に誓って★ | ショエーブ・マンスール 監督 | 2007年/パキスタン/169分 |
盗まれた花嫁★ | エルネスト・アブディジャパロフ 監督 | 2007年/キルギス・カザフスタン/95分 |
オーム・シャンティ・オーム | ファラー・カーン 監督 | 2007年/インド/169分 |
881 歌え!パパイヤ | ロイストン・タン 監督 | 2007年/シンガポール・日本/109分 |
ポケットの花★ | リュウ・センタック 監督 | 2007年/マレーシア/97分 |
サイアム・スクエア | チューキアット・サックウィーラクン 監督 | 2007年/タイ/158分 |
どん底★ | ブリリャンテ・メンドーサ 監督 | 2007年/フィリピン/86分 |
愛を信ず | ワン・シャオシュアイ 監督 | 2007年/中国/115分 |
愛の歯★ | チュアン・ユイシン 監督 | 2007年/中国/114分 |
生きていく日々★ | アン・ホイ 監督 | 2007年/香港・中国/90分 |
マッド探偵(ディテクティブ) | ジョニー・トー監督 ワイ・カーファイ 監督 |
2007年/香港/98分 |
神も人も犬も★ | チェン・シンイー 監督 | 2007年/台湾/119分 |
7月32日★ | チン・スンヒョン 監督 | 2008年/韓国/96分 |
見知らぬ国で★ | キム・ドンヒョン 監督 | 2007年/韓国/113分 |
パボ | キム・ジョングォン 監督 | 2008年/韓国/100分 |
ネコナデ | 大森 美香 監督 | 2008年/日本/85分 |
推手★ | リー・アン 監督 | 1991年/台湾/107分 |
ウェディング・バンケット★ | リー・アン 監督 | 1993年/台湾/108分 |
恋人たちの食卓★ | リー・アン 監督 | 1994年/台湾/124分 |
●アジアフォーカス・アーカイヴス
空白のページ | ホー・クアン・ミン 監督 | 1991年/カンボジア・スイス/99分 |
カルナル 愛の不条理 | マリルー・ディアス=アバヤ 監督 | 1984年/フィリピン/ 110分 |
幸福になりたい | トゥ・フイ 監督 | 1989年/ベトナム/ 84分 |
川の流れのように | チー・ソウ・トン 監督 | 1989年/ミャンマー/115分 |
メルセデス、わが愛 | バイ・オカン 監督 | 1993年/トルコ/98分 |
草の家 | シュイ・コン 監督 | 1999年/中国/106分 |
放火犯 | ウ=エイ・ビン・ハジサアリ 監督 | 1994年/マレーシア/70分 |
飛天舞(ビチョンム) | キム・ヨンジュン 監督 | 1999年/中国/106分 |
灼熱の日々 | プラサンナ・ヴィターナゲー 監督 | 2003年/スリランカ/108分 |
クロスファイアー | リトゥポルノ・ゴーシュ 監督 | 1997年/インド/155分 |
こんなに近く、こんなに遠く | O.バトウルズィー 監督 | 2005年/イラン/121分 |
あなたがいない時 | リトゥポルノ・ゴーシュ 監督 | 2006年/モンゴル/90分 |
自転車で行こう | イサク・リィ 監督 | 2006年/台湾/81分 |
●協賛企画:バリアフリー上映会
象の背中 | 井坂 聡 監督 | 2007年/日本/124分 |
●協賛企画:日本映画名作選
土 | 内田吐夢 監督 | 1939年/日活/ 94分 |
素浪人罷通る | 伊藤大輔 監督 | 1947年/大映/ 81分 |
麦秋 | 小津安二郎 監督 | 1951年/松竹/ 125分 |
ひめゆりの塔 | 今井正 監督 | 1953年/東映/ 127分 |
野菊の如き君なりき | 木下恵介 監督 | 1955年/松竹/ 92分 |
筑豊のこどもたち | 内川清一郎 監督 | 1960年/東宝=日本映画新社/ 106分 |
御存知黒田ぶし 決戦黒田城 | 加戸野五郎 監督 | 1960年/新東宝/ 74分 |
妻は告白する | 増村保造 監督 | 1961年/大映/ 91分 |
切腹 | 小林正樹 監督 | 1962年/松竹/ 133分 |
冷飯とおさんとちゃん | 田坂具隆 監督 | 1965年/東映/ 178分 |
私が棄てた女 | 浦山桐郎 監督 | 1969年/日活/ 116分 |
真剣勝負 | 内田吐夢 監督 | 1971年/東宝/ 76分 |
燃える秋 | 小林正樹 監督 | 1978年/東宝=三越/ 137分 |
水の中の八月 | 石井聰亙 監督 | 1995年/「水の中の八月」製作委員会/ 118分 |
原野の子ら | 中山節夫 監督 | 2007年/中山映画/ 127分 |
●協賛企画:福岡アジア文化賞大賞受賞記念 アン・ホイ監督特集
上海假期 | アン・ホイ 監督 | 1991年/香港・台湾/95分 |
シークレット | アン・ホイ 監督 | 1979年/香港/89分 |
男人四十 | アン・ホイ 監督 | 2001年/香港/103分 |
千言萬語 | アン・ホイ 監督 | 1999年/香港/128分 |
●協賛企画:中国映画フェスティバル2008&東南アジアの映像クリエーター特集
北京の恋 四郎探母 | 孫鉄 監督 | 2004年/中国/98分 |
変臉(へんめん) この櫂に手をそえて | 呉天明 監督 | 1996年/中国・香港/101分 |
愛にかける橋 | 胡攻 監督 | 2002年/中国・オーストリア/118分 |
乳泉村の子 | 謝晋 監督 | 1991年/日本・中国・香港/121分 |
心の香り | 孫周 監督 | 1992年/中国/98分 |
はし/Hashi | シャーマン・オン 監督 | 2007年/マレーシア・日本/111分 |
みんな知り合い/We all know each other | プッティポン・アルーンペン 監督 | 2007年/タイ・日本/57分 |
ドン・サルバイバの短編作品集 | ドン・サルバイバ 監督 | 2005-2006年/フィリピン/合計約17分 |